相続人が受け取るがん診断給付金等について
 

こんにちは、今回は「相続人が受け取るがん診断給付金等」についての相続事例をご紹介します。

◆ご相談内容◆

・先月がんで母が亡くなった
・亡母の書類を整理したところ、がん診断時及び治療入金時の給付金が含まれた死亡保険に加入していたことが発覚した
・保険会社に確認したところ、生前に手続きされていないので給付金請求手続きをするよう言われた
・受取人は相続人である私(長女)と妹の計2人
・私が手続きを行うが、受け取る給付金は相続においてどのような扱いになるのか

◆詳細解説◆

被保険者の生前に請求手続きが行われず死亡後に請求をする場合、給付金受取人が誰になっているかにより税金の扱いが異なります。
がん保険を含む医療保障の給付金は、被保険者が亡くなった後も保険契約が有効で、所定の要件を満たしていれば請求することができます。
被保険者の容態や事情により生前に請求手続きを行えず、死亡後に請求するケースは少なくありません。
同時に請求する死亡保険金は、他の生命保険金と同様に、民法上は受取人固有の財産になりますが、相続税の計算上はみなし相続財産として課税対象となります。

1.給付金受取人
(1)被保険者本人の場合
本来、被保険者(被相続人:今件の場合は亡母)が受け取るものであるため、死亡後に受け取る給付金は相続財産として、相続税の課税対象となります
この場合、相続手続き上は相続人の誰が受け取ったとしても相続人共有の財産であり、未収金として遺産分割協議の対象になります。

(2)被保険者の配偶者等(直系血族・生計を一にする親族)の場合
配偶者や子など被保険者以外が受取人に指定されている場合、被保険者が生前か死亡後かに関係なく指定された受取人の財産となります。
死亡後に給付金を受け取っても受取人の財産であるため、相続税の課税対象にはなりません
またこの場合、保険契約に基づいて病気やケガによる身体の傷害に基因して支払いを受けるものは、所得税法上非課税とされています。したがって、相続税、所得税ともに課税されません。

2.ご相談のケース
ご相談のケースにおける給付金受取人は、上記1.(1)に該当します。
死亡保険金の受取人であるご相談者が給付金と死亡保険金の請求手続きを行うため、保険会社からまとめて支払われるものと想定されます。
給付金と死亡保険金は相続税の課税対象となる点では同じですが、給付金は相続人共有の財産として遺産分割協議の対象になる点で、死亡保険金とは異なります。
支払明細等によって整理する必要がありますので、ご留意ください。