今後の賃貸住宅需要を考える―賃貸住宅の床面積の推移-
 

こんにちは、今回は「今後の賃貸住宅需要」についてのお話しになります。

「住宅・土地統計調査」は5年に1度行われますが、その中に「所有関係別一住宅当たり延床面積の推移」というデータがあります。
1968年から50年間の借家延床面積の推移から、今後の賃貸住宅需要がどうなるかを予測してみましょう。

◆民間貸家1戸当たり延床面積は右肩上がりで推移◆

総務省の「住宅・土地統計調査」には「所有関係別一住宅当たり延床面積の推移」というデータがあり、1968年から2018年までの50年間で、持ち家、借家の延床面積がどのように変化してきたのかの推移がわかるようになっています。
先ずは図表1を見てみましょう。このグラフは民営賃貸住宅の1戸当たり延床面積が過去50年間でどのように推移したのかを示しています。
ご覧のように、関東、東海、近畿のいずれもが右肩上がりで上昇を続けています。3地域のうち、延床面積が最も広いのは東海で、次に近畿、関東という順番になります。
関東が最も狭いのは、進学や就職での需要の多い地域なので、地価・住宅価格とも高い中で賃料を抑えるには、相対的に狭い部屋が多くなっているためと考えられます。
この様な状態は長く続いていて、東京23区内においては、ワンルームマンションばかりが増えてしまうのを防ぐために、ワンルームにおける最低面積への規制が設けられています。
例えば新宿区では2008年までの最低面積は18㎡でしたが、それ以降は25㎡に広がり、他の区も右に習っている状況です。
ただ、渋谷区はそれよりも若干広めの28㎡以上としています。
さらに、新宿区の条例で「ワンルーム形式の住戸が30戸以上になる場合には、家族向け住宅(専用面積40㎡以上)を一定割合設ける必要がある」となっているように、各区でも一定割合をファミリー向けにすることや、一定数の駐車場確保を義務付けているケースもあります。

◆収入が安定した単身者向けとして少し広めの部屋の需要が拡がる可能性がある◆

このように、賃貸住宅の延床面積は、この50年間、人口動態や家族形態の変化、規制などの影響を受けて変化してきましたが、今後はどうなっていうのでしょうか。
まず、都市部における単身者向け賃貸住宅への需要は、これからも旺盛な状況が続くと見ています。
地方から都市部への人口流入は今後も続くでしょうし、国勢調査の数字を見ても、単身者世帯の増加は、もはや不可逆的なものと考えられます。
将来、都市部の賃貸住宅に住むのは主に若年層でしたが、これも大きく変わっていくでしょう。
そもそも人口の年齢構成を見ても若年層は減少傾向にありますし、出生率の低さを見れば、仮に効果的な少子化対策が打ち出されたとしても、数字の改善が見られるまでには、少なくとも50年はかかるでしょう。
現に、晩婚化や非婚化が進んだことにより、若年層ではない、単身者世帯の増加が顕著になっています。
そうなると、都市部においては若年層向けだけでなく、比較的収入が安定した30~40代単身者向けの賃貸住宅需要が高まる可能性があります。収入に余裕がある分、広い物件を求める傾向がありますから、単身者向け賃貸住宅といっても、40~50㎡程度の1LDK、2LDKに対する需要が高まっていくものと思われます。

◆TERA corporation コンサルティング物件(管理物件)の実情は?◆

賃貸住宅の面積における需要特色は、区に依っても違いますし、同じ区内でも最寄り駅周辺の特徴や駅からの距離によっても違ってきますので、新宿区だから足立区だからという括りで事業計画を立てることは致しておりません。
実際、入居者募集時の反響も同じ区内であっても駅が違えば、部屋に対する希望もそれぞれ異なります。そして、それらのニーズを細かく反映している物件の入居率は非常に高い水準で推移しています。
また、23区全体で供給過多となっている中途半端な広さ(23㎡~26㎡)の1Kタイプは、単に家賃競争に巻き込まれる傾向にありますが、弊社の物件は、水廻り設備や収納、その他設備を工夫し差別化を図ることで高い入居率を確保しています。

昨今、最寄り駅周辺の特徴で違いはありますが、ファミリー向けの広さ(45㎡以上)の部屋に40代~50代の高収入単身者からの反響が殺到するケースが少なくありません。高収入単身者は、高い家賃を出せる分お部屋に対する要望も高いため、間取りだけではなく様々な工夫を施さなければなりませんが、長く住んでいただける方が多く、オーナー様にとりましても貴重な入居者世帯といえます。

弊社では、一般的な調査による数字に頼るのではなく、建築地の最寄り駅ごとに徹底的な市場調査をかけ事業計画を立案しています。
そうしなければ、当たり障りのないありふれたニーズを取り合うだけの物件が出来上がってしまうからです。
ニッチなニーズを如何にして取り込むかが、今後の賃貸事業に欠かせないのではないでしょうか。